足跡が其処に
本と瞳と世界と


貴方の隣で同じ本を読む
相変わらずの曇り空と冷たい風

ちらりと貴方を見た
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愛おしそうに微笑みを浮かべながら見る貴方の姿
今にも消えてしまいそうで
少し不安になってじっと見つめる

私の視線に気付いたのか
貴方も私を見た

お互いクスリと笑って
読みかけの本の話をした

貴方はいつも優しい目で世界を見る
読みかけの本にも優しい目をした少年が居た

貴方は片隅に並んでいた一冊の本すら
優しい目で見ているから
私は思わず
秋の空を見ながら
泣きそうなのを堪えた
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