足跡が其処に
秋風の飛んだマフラー

帰り道
紅葉と銀杏の並木道

あの時の貴方の表情を
思い出して
胸が痛んだ

冷たい秋風にふわっとマフラーが飛ばされる
今まで暖かかったのに
秋風に体が冷えていく

飛んで行ったマフラー
まるであの時の貴方のように
ただじっと、そこから動けない

ハッとして、慌ててマフラーを拾って
ぎゅっと抱きしめた

そしてまた首に巻く
今度はぎゅっと
もう何処にも飛ばされないように
< 28 / 60 >

この作品をシェア

pagetop