足跡が其処に
夜桜

満月の夜
妖しく光り浴びた夜桜
手荷物一つなく歩いていた
自由に羽ばたいて

ふと一際大きな桜の下
桜の花びらを見上げて
ただ微笑む不思議な少年

目があって
一歩ずつ近づく私たちは
まるで恋人のよう

手を伸ばして
指先だけ合わせた私たちは
対極の存在同士

桜の下
微笑む貴方は黒の住人
月の下
自由に歩く私は白の住人

妖しい月と
静かな桜だけが
私たちを知っていた
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