足跡が其処に
春の空

少女は空に手を伸ばした
何かを求めるように
それでも空を掴めないと知りながら

少女は
ただひとりで空に手を伸ばした

桜が散り始める公園で
少女はひとり目を閉じた

「生きて」と叫んだ少年は
もうこの世界の何処にも居ない

ただ、少女は生きるのだ

空に手を伸ばしては
何も掴めないその手では
宙を切るだけのその手では
何も出来ないと知りながら

あの青い空から
何時か、少年がその手を
握り返してくれるまで
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