愛しさを抱きしめて

頬に伝う涙を右京くんがそっと優しく指で絡めとる。
パシンッ…と右京くんの手を払い除けた。

「…その…ごめっ…」

右京くんは一瞬悲しそうな表情をして、静かに音楽室を出た。
なんで払いのけたんだろう…と自分の手を見つめる。
携帯をカバンの中から出して、電話帳から咲羅を探して電話をかける。
2コール目で出てくれる咲羅、咲羅の声がして安心したのか涙が出た。

「さくっ…らぁ…、」

涙声のわたしに気がついて焦ったような声が聞こえる。
声が聞こえて、呻りをあげるわたし。

そこから咲羅が来るまで、泣きじゃくった。

「日和!!!」

汗まみれの咲羅を見て、余計に泣いた。

「さくらぁ……、うきょ…くんがぁ…」

「とりあえず、日和の家に行こう?」

なんとかわたしの家に着き、部屋に行く。

「右京になんかされた?」 
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