愛しさを抱きしめて

音楽室であったことを話し、冷蔵庫にあったミルクココアを口に含む。
咲羅にはコーヒーを飲んでいる。

「日和は右京のこと好きなの?」

眉を寄せながら聞いてくる。

カァァ…///と真っ赤になる私の顔。
薄ピンクのハートのクッションを顔に埋めながら、答える。
恋とか愛とか子どもなわたしは理解出来るわけもなく、告白とかされても全て断っていた。

「そっか…」

寂しいときや嬉しいとき…、右京くんが近くに居てほしい。
嬉しいとき、一緒に笑ってほしい。寂しいとき、近くで寄り添ってほしい。
ピアノ弾けたとき、一緒に喜んでくれて嬉しかった。
お昼、一緒に話してて楽しかった。

「うきょ…くん、好き」

咲羅はわたしの頭を撫でながら、そっかと言った。

「なんか娘を嫁に出す母親の感じ」

少し寂しそうな表情をした咲羅。

「わたしは咲羅の友達だよ、あれ?親友だ!そう、しんゆう!」

ガバッ!と咲羅が抱きついてきて、笑った。

「ばか」

その言葉に私も咲羅も笑った。
< 11 / 52 >

この作品をシェア

pagetop