愛しさを抱きしめて

咲羅と近くのデパートへやって来た。

「日和、うち今から波音とデートだから!バイバイ!!」

「ふぇ?」

なんでわたしここにきたんだろ…、帰ろ…。
そのまえに波音くん来てたんだ…

「日和?」

何度も聞いたことのある低い声。
反射的に足を速める。

「日和待て!」

なんで私、走ってんだろう…
いつの間にか走っていて、ドンッ!と誰かにぶつかった。

「いたっ…」

ぶつかった衝撃で立つことができず、尻餅をついてしまった。
上を見上げるとガラの悪そうな男3人。

「超かわいいじゃん、今からどう?」

ぎゃはははははは、と下品な笑い声が聞こえて怖くて目をぎゅっ…と閉じた。

「もぅいいじゃん、連れ込もうぜ」

1人の男がわたしの腕をつかんで、卑劣な笑みを浮かべる。
周りの人を見渡すと周りの人たちは見て見ぬフリをする。
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