愛しさを抱きしめて
「や……」
無理やり立たされて、顎を掴まれ上を向けさせられる。
「や……だって~かわいい~、ほんとにかわいいな」
行こうか、とそう言われ手首を掴まれ歩かされる。
「何やってんの?その子、俺の彼女なんだけど?」
何度も聞いたことのある低い声。
「この子諦めて、どっかに行けや」
ガラの悪い3人のうちの1人が右京くんを威嚇する。
「なぁ…こいつってやばくね…?」
「すいませんでしたっ!」
そう言って走って逃げていく3人組。
「日和」
右京くんに名前を呼ばれ、顔をあげた。
「ばか」
そう言われてグーでコツンと額に当たった。
腕を引かれて、外にある車に乗り込む。
右京くんが目で指示をして運転手さんは外に出た。
「うきょ…くん、ふぇ…」
二人でいることに安心したのか、涙が出てきた。