愛しさを抱きしめて
リビングと思われる大きな部屋に1人の優しげな男性が居た。

「初めまして、橋本(はしもと)と申します。志乃様の専属執事をしております。」

姿勢正しく敬礼してくる橋本さん。
ふはぁ、やっぱり右京くんってすごいんだ~…

「初めまして、佐倉日和です。右京くんとは友達です?」

ふはっ、って笑う右京くんを睨む。

「仲がよろしいようで」

微笑むように頬を緩めて失礼しました、と言って部屋を出て行った。

「右京くんってやめろ、志乃でいい」

眉を寄せながら言ってみろ、と言うので口を開いた。

「志乃…」

志乃の目をじっと見つめながら言うと、上出来と言って席に座らされた。

「日和、食べろ」

志乃につられて料理を食べた。

「ご馳走様でした」

わたしがそう言うと、志乃が椅子を引いてくれた。

「日和、来い」

志乃の後ろを歩く。
ゆっくりと歩幅を合わせてくれて、走る素振りはしなくてよかった。
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