愛しさを抱きしめて
「佐倉~、起きろ~」
と授業中にそんな声がしたが、全て無視をして夢の中に飛び立った。
こうしていつものように午前の授業が終わり、咲羅がいつものようにお弁当を持ってこちらに近寄ってくる。
「今日、どこでお弁当食べる?」
夏になった7月、暑そうに髪を靡かせる咲羅。
「えっと…、裏庭」
リュックからお弁当と100円玉を取り出すわたし。
「宇佐見~、呼び出し~」
クラスの男子が咲羅に声をかける。
「ごめん、日和。先に行っててくれない?」
眉を下げながら言ってくる咲羅にコクンと頷き、教室を出た。