愛しさを抱きしめて
「貴方が冷たいからでしょ!?」

慌てて口走った言葉はそれか…。
どこかで否定してほしいと思っていた自分に、綺麗で自慢だったお母さんに落胆した。

「仕事なんだから仕方ないだろ!!」

お父さんの言葉にも落胆した。
この家族にはもう興味が無い。

「お父さんもお父さんだよね?お母さんの浮気に気付かなかった」

驚いて、悲しそうな表情をしたお父さん。

「二人とも結局は自分のことで、私の異変には気付かなかった。もぅ手遅れなまでに心はこんなにも冷めてしまった」

わたしが愛想笑いを止め、冷たい目で二人を見ると驚いた表情をする夫婦。

「二人ともお互いのせいにして恥ずかしくないの?間に挟まれてるわたしはどうしたらいいの?」

私の言葉で俯く二人。
そのことにもっと早く気付いて欲しかった。
その言葉と共にわたしは自室へ戻った。
結局二人は離婚して、浮気をしていた母が家を追い出された。
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