愛しさを抱きしめて

「次はどこに行く予定なの?」

沈黙の空気が居心地悪くなり、口を開いた。

「ちょっと遠いがイギリスへ行く予定だ」

「そっか」

微笑みながら言う父にわたしは苦笑いで返した。

「また3ヶ月は留守にする、ホントにすまない」

そう言って頭を下げる父にわたしは口をあけた。

「お父さん、お仕事頑張って」

わたしそう言うと父は頭を上げるとわたしは微笑んだ。

「ありがとう」

高1の頃、本当は寂しかったし一人で怖かった。
でも父のことを思うと、自分のことはやっぱり伝えることに躊躇った。

こうやって短い時間でも一緒に居てくれるし、電話やメールも毎日してくれる。

「お父さん、大好き」

わたしがそう言うと少し照れくさそうな顔をした。
朝になると玄関まで父を見送った。
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