愛しさを抱きしめて
「よし、行くぞ」
すいません、志乃さん。わたしの話聞いてました?
わたしの手首を持って進んでいく志乃。
着いた場所は裏庭。
「志乃…、手…」
わたしがそう言うと、パッっと放された手。
志乃は日向の芝生に座る。
「日和、来い」
トントンと手で叩かれた場所に大人しく座る。
わたしの肩に志乃の手で押されて、ゴロンと転がる。
それにつられて志乃もわたしの隣に寝転ぶ。
「わぁっ…、空!」
真っ青な空に真っ白な雲があり、なんとも言えない景色。
「俺、空の景色好きなんだよ」
見てて和むだろ?と微笑んだ志乃。
「うん」
志乃を見ずに、わたしはずっと空を眺めていた。