愛しさを抱きしめて

「日和、右京には言っちゃだめよ!」

咲羅は面白そうに言った。

「言えませんから!」

まだ付き合って間もないけど、大体志乃の性格は理解はしているつもり…
俺様志乃に『文化祭で浴衣ですることになりました』って言ったら?
絶対、危険な目に合うことが目に見えてるよ!!
怖くて言えませんから!!!
話していたのもあるけど、時間がたつのは早く授業の終わりを示すチャイムが鳴った。

「今日どこで食べる?」

いつものように咲羅が自分のお弁当を持ち、わたしの席へくる。

「ん~、教室」

わたしが答えると咲羅は了解、と言った。
二人できゃあきゃあと言っていると教室のドアが騒がしいことに気づく。

「日和いる?」

志乃がわたしたちの教室に入ってきた。
クラスの群れを掻き分けてわたしは志乃のところへ向かった。

「志乃、どうしたの?」

笑顔で駆け寄ると志乃は微笑んでくれた。
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