愛しさを抱きしめて

もうなるようになればいいや、と思い現実から背けるように目を閉じた。

「ひ……り……日和!!」

目を開けると咲羅とクラスの女の子が満面の笑みで微笑んでいた。

「咲羅、どうしたの?」

わたしが聞くとズイッと資料を目の近くで差し出された。
ごめんね、咲羅。資料まったく見えないや。
咲羅は段々落ち着いてきて、わたしの机の上にバサッとそれはもう沢山の資料が置かれていた。
一枚一枚資料を目に通していく。

何枚かめくってまず目に入ったのが花びらが幾重にも重なって咲き誇る八重桜をモチーフにし、ゴージャス感をたっぷりただよわせていてほんのり薄いピンク色の桜色と、甘やかな薄紅色で描かれた八重桜の大輪がふんだんに組み合わされている。帯は落ち着いてる黒。帯にも桜の刺繍が入っていてとても可愛い。
咲羅がわたしの様子を見てその絵に丸をつけた。

次に目に入ったのは薄いピンク色の生地に淡いピンクと紫のトロピカルフラワー、細かく散りまいている夏の花たち。帯はスカイブルーのトロピカルフラワーに蝶をモチーフにした帯紐。
その資料を暫く見ていたらクラスの清楚系の女の子が微笑みながら言ってきた。
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