愛しさを抱きしめて

「トロピカルフラワーの花言葉知ってる?」

彼女の質問にいつのまにか隣にいた咲羅は彼女を睨んでいた。

「優美、気品、優雅、飾らない美しさ、印象深い、無垢な心。トロピカルフラワーにもいろんな種類があるんだけどね?」

優美、気品、優雅、飾らない美しさ、印象深い、無垢な心…。
トロピカルフラワーの花言葉を頭の中で復唱する。

「日和にぴったりじゃない」

隣の咲羅は微笑んでこれに決まりね、と資料を持ってクラスの中にとけこんで行った。

「私、琴音(ことね)。よろしくね」

「わたし日和だよ~、よろしくね琴音ちゃん」

クスクスと琴音ちゃんが笑って、ちゃんはいらないよって言ってくれたので呼び捨てにすることにした。
五時間目の残り5分と六時間目の途中まで琴音と沢山話した。
琴音は華道の家元で花言葉にも詳しくて、凛としていてかっこよかった。

琴音の見た目も清楚そのもので、艶がある長くて綺麗な黒髪でスラリとした体系、顔つきはハッキリしている。
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