愛しさを抱きしめて
波音SIDE


クラスのあちこちから、日和ちゃんと咲羅かわいいよな~って言う声が聞こえる。
当たり前でしょ、俺の彼女なんだからと自慢したくてうずうずしてくる。
ふと隣を見れば不機嫌な志乃が机に顔を埋めた。

おい、寝るんか。この俺を差置いて…と意味のわからないことを思いつつ…。
相変わらず日和ちゃんはふわふわしてるつうか、どこか抜けている。
学年で日和ちゃんを狙ってた男子は多い。

まぁ、咲羅はモテるけど俺という彼氏持ちだしな。
日和ちゃんの場合…あれだよね、あれ。
小さい慎重に細くて愛くるしい瞳は大きくて小顔で、守ってあげたくなる感じ。つまり母性本能?いや、知らないけどね?

「志乃、俺の彼女可愛すぎて困る」

親友にそう言ってニカッと笑うと、志乃は顔を上げてフッ…と笑った。

「俺の彼女のほうが可愛いから」

何言ってるん、俺の彼女が一番可愛いわ。
絶対、髪飾りにお花つけたら似合うわ…と想像して思わずニヤニヤしてたら横からキモ…、と聞こえたので懐に一発殴っておいた。
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