愛しさを抱きしめて

待ちに待った放課後が来た。
放課後になって一時間後に行く、とメールが来た。

「日和」

志乃が私の教室まで迎えに来てくれた。
着いた場所は裏庭。

「俺は日和のクラスの朝比奈琴音と付き合っていた」

なんとなく知っていた。予感はしてた。
でも涙が溢れ出てくる。

「琴音だけじゃない。沢山の女と付き合ってきた」

あぁ、予感はしてたのに覚悟はしてなかった。
志乃は少しだけ覚悟する時間をくれたのに。

「そっか…」

泣いたらいけないことが分かっているのに、泣いて解決することじゃないことも。
私は、過去を変えることも出会うこともないから。

「日和、ちゃんと守るから」

そっと志乃が私を抱きしめる。
ごめんね、志乃…今だけだから。
貴方のせいにして、貴方のために泣きます。

明日にはもう笑うから…
< 44 / 52 >

この作品をシェア

pagetop