愛しさを抱きしめて
「志乃の彼女いる?」
次の日、クール美人がB組へやって来た。
B組のドアに腰掛けてる、その姿だけで絵になる。
「私です」
連れてこられたのは体育館の裏、なんというかありきたり。
「志乃と別れてよ」
見ず知らずの人に別れて、と言われても困る。
それに志乃と別れるなんて無理に決まってる。
「嫌です」
志乃と別れたら闇に埋もれそうで怖い。
志乃がとてつもなく愛しい、まるで志乃の毒牙に犯されたみたい…と思い笑ってしまった。
「まだ好きなの、志乃のことが!」
あぁ、この人も私と同じ気持ち。
でも私に志乃と別れろっていうのは筋違いだと思うな。
「私が浮気して、別れたの。別れて気がついたの!!とてつもなく好きなんだって!!だから…!!」
はぁ…とそこで溜め息が吐いた。
この人も母と同じ、と思うと嫌悪感がする。