愛しさを抱きしめて
志乃SIDE

俺が入学して、すぐにとある噂が広まった。

《一年にフワフワしてて可愛い女子がいる》。

その子の名前は佐倉日和で、初日から授業中寝てる問題児。
佐倉日和は頭がいいらしく、教師たちも大目にみているらしい。
その時は、ふーんぐらいしか返事をしてまったく興味なかった。

俺がいつもサボる木の上、何一つ物音を立てず風通しがよく涼しいこの場所は俺のお気に入り。
いつものように木の上でサボっていたら音楽室から聞こえてくる、やさしい音色のピアノとソプラノの声。

音楽室を見渡せる木の上からみるとフワフワしている女子で有名な佐倉日和がいた。
少し悲しい歌詞に佐倉日和らしいそんなに早くもないメロディー。

その曲を歌い終わり、佐倉日和は目を閉じた。
少しして、佐倉日和は目を開けた。
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