愛しい人
夕方、病院に2人を連れて行った。

「下里くん、戸田くん、来てくれてありがとう」

彩は嬉しそうな表情を浮かべた。

「おめでとう!」

そう言う2人も、自分のことのように嬉しそう。
さっそく、ガラス越しに幸歩とご対面。

2610gと小さめながら、他の赤ちゃんより目立っているような気がした。

「かわいい!スヤスヤ寝てるね…」

「女の子だから久馬に似るのかな…」

2人にヘンな心配をかけた。そして、少し話をしてから帰っていった。

「体調は、どう?」

彩に話しかけた。

「大丈夫!食欲もあるしね!!」

「そっか。少しは痩せたか?」

「これから母乳あげたら痩せるもん!」

「無理すんなよ」

少し丸くなった頬をつついた。プニッとしている彩もいいもんだ。

「退院したらケーキ食うか?」

「久馬くんが珍しいね」

「我が家の恒例行事だろうが」

「そうだね。楽しみにしてるよ」

そっとくちづけて、病室を後にした。

幸歩の様子を見ると、スヤスヤと眠っていた。またひとり、愛しいと思える家族が増えた。

「ありがとう」

小さく呟くと、胸に幸福感が広がった。


(おわり)
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