エトワール~君が描く夜空~
フェンス越しに、青年と視線が絡み合う。
不思議な色の瞳は私の目を奪い、あまりの美しさに私はごくりと生唾を飲み込んだ。
――これは、夢か何かなの?
本当の私はベッドの上で眠っていて、ここから飛び降りればまたいつものように朝が来るんだろうか。
それなら……。
私は青年から顔を背けると、眼下に見える都会のイルミネーションに向けて一歩を踏み出した。
「――ちょっ……!」
夢ならば、こんな夢早く覚めればいい。
夢じゃないなら、このままこの世界から「私」と言う存在があとかたも無く消えればいい。
恐怖なんかこれっぽっちも感じなかった。
だって、私は自分の消滅を望んでいたんだから。
生きていたって何も楽しくない。
誰も私のことを必要としてくれない。誰も私を認めてくれない。
存在自体が否定されるこの人生。生きていて何が楽しいの?
一歩踏み出すたびに、見える景色が広くなる。
――あと、一歩。空中に向けて一歩踏み出そうとした瞬間だった。
「――っ!!」
ガシャン、と背後のフェンスが凄まじい音をたてたかと思うと肩を強引に引っ張られ、私は均衡を崩して背後に倒れ込みそうになり……何とか踏みとどまった。
「っ、何を……」
「死んじゃ、ダメだよ」
抗議しようと背後を振り向いた私は、静かでいて力強いその瞳に文字通り、とらわれた。
軽く息を弾ませた彼は、じっと私を見つめるともう一度、呟く。
「死んじゃ、ダメ」
――怒鳴られたわけじゃない。
それなのに、どうしてだろう。
不思議な色の瞳は私の目を奪い、あまりの美しさに私はごくりと生唾を飲み込んだ。
――これは、夢か何かなの?
本当の私はベッドの上で眠っていて、ここから飛び降りればまたいつものように朝が来るんだろうか。
それなら……。
私は青年から顔を背けると、眼下に見える都会のイルミネーションに向けて一歩を踏み出した。
「――ちょっ……!」
夢ならば、こんな夢早く覚めればいい。
夢じゃないなら、このままこの世界から「私」と言う存在があとかたも無く消えればいい。
恐怖なんかこれっぽっちも感じなかった。
だって、私は自分の消滅を望んでいたんだから。
生きていたって何も楽しくない。
誰も私のことを必要としてくれない。誰も私を認めてくれない。
存在自体が否定されるこの人生。生きていて何が楽しいの?
一歩踏み出すたびに、見える景色が広くなる。
――あと、一歩。空中に向けて一歩踏み出そうとした瞬間だった。
「――っ!!」
ガシャン、と背後のフェンスが凄まじい音をたてたかと思うと肩を強引に引っ張られ、私は均衡を崩して背後に倒れ込みそうになり……何とか踏みとどまった。
「っ、何を……」
「死んじゃ、ダメだよ」
抗議しようと背後を振り向いた私は、静かでいて力強いその瞳に文字通り、とらわれた。
軽く息を弾ませた彼は、じっと私を見つめるともう一度、呟く。
「死んじゃ、ダメ」
――怒鳴られたわけじゃない。
それなのに、どうしてだろう。