エトワール~君が描く夜空~
なぜだかとっても、悲しくなった。


「どうして……っ」


どうして邪魔するの。どうして死なせてくれないの。

言いたいことはいっぱいあるのに、それ以上に悲しくて。

泣きたくなって。

――苦しい。

何かがせり上がってきて気管を塞ぐ。

体中が、発熱したかのように熱くなる。



「苦しい時は泣いていいんだよ。我慢なんて、しなくていい」



青年が、今にも泣き出しそうな笑顔を浮かべて私に手を伸ばす。

やめて。触らないで。

優しい言葉なんて聞きたくない。人の温もりなんて感じたくない。

だって、人の優しさを、温もりを知ってしまったら私はきっとと……――死ぬことが怖くなる。

きっと温かいだろうその手を弾き、私は彼から距離を取る。

自分の手が拒まれることを予想してたんだろう。

少し困ったような笑みを浮かべる彼に、私はぽつりと呟いた。




「……苦しくなんか、ない。我慢なんてしてない」

「そっか」

「泣きたくなんて、ない」

「うん。じゃあ、君の頬に流れてるものは何?」

「え……?」



驚いて自分の頬に触れると、そこは確かに濡れていて。

目を見開いて固まってしまった私の元に、彼は驚くほどに速さで向かってきた。



「――っ!?」


息をつめて、彼を避けようとするけれど間に合わず。

私の腕は彼に力強く捕まれ、フェンスに押し付けられた。



「何するの!?」

「ごめん。こうでもしないと、落ち着かなくて」

「は!?」



意味分かんない!










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