エトワール~君が描く夜空~
蔑んだ目で私を見下ろす両親の幻影はかき消えて、変わりに私の視界に入ったのは戸惑ったような青年の顔。


「あ。ご、ごめんなさい……」

「どうして謝るの。キミは何も悪くないじゃない」

「で、でも。私ったら……」



急に、叫びだしちゃって……。

ああ。どうしよう。きっと変な子だ、って思われた。

ちらりと彼を見れば、視線に気づいた彼が優しい笑顔を私に向ける。

普通の子なら、それで安心したりするだろう。

でも、私は……――怖かった。

だって、知ってるもの。

人間は、簡単に“嘘”をつくことができる。

簡単に、真実を隠すことができることを……。

彼の優しい笑顔が、怖い。

その笑顔の奥の、本当の彼の表情を想像すると怖くて怖くて直視できない。

俯いて、私は地面を凝視する。

怖い。彼の顔を見ることが、とても……。

無意識に震えだす身体を、私は自分の腕をぎゅっとつかんで堪える。

ダメ。震えちゃダメ。これじゃあ、余計に変な子だって思われちゃう……。

腕を掴む手に力を込めたその時だった。

ふわりと、温かい何かが私の身体を包み込む。




「……え?」



目を見開いて、私は固まる。

だって、私今……抱きしめられてるんだもん。







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