天然王子様に振り回されて

微笑みを崩さなかった永井さんだったけど。


今はギラギラした瞳で、羽依を睨んでいた。




けれど、くいっと口角を上げ。

蔑むように羽依を見た。



「ふふふっ。目、ちょっと腫れてるね？

泣いたんだね？


ねぇ、苦しかった？」


羽依は、じっと永井さんを見た。

そして、1つ頷く。




「はい。すごい、泣きました。

苦しかったです。


でも、千秋先輩が好きって気持ちは、

消えませんでした。」






・・・羽依を、抱きしめたくなった。


愛しくて、たまらない。




永井さんは、にっこり微笑んだ。


「そう。良かった。苦しんだんなら、いいのよ。


私は別にあなた達を別れさせたいわけじゃないから。

千秋君が好きなわけでもないの。」




ふんわりと優雅な笑みを浮かべた永井さんは、


優しい声音で言った。













「私は、ただ、飯田さんが憎いだけ。」