天然王子様に振り回されて
けれど、私が疑問を口に出すより早く。



永井先輩が続けた。





「まぁ、でも、もう、やめるわね。

充分苦しんでくれたみたいだし。」



ふんわりと、永井先輩は微笑んで。





「まだまだ憎いけど、我慢するわ。

またやったら、そこの2人に何されるかわからないもの。


ふふっ。飯田さん、じゃあね?」



スッと立ち去った。




「あ、さようなら!」



慌ててそう言えば、永井先輩が、ひらひらと手が振った。











・・・・・うーんと・・・



「一件落着?」


「だな。」

「うん。」




茜の腕の中、私は良かったーと、胸を撫で下ろした。







けれど同時に、ある考えが浮かんできた。





永井先輩の言葉。



『未練』








その言葉から連想したのは、

時々するお母さんの、お母さんらしくない笑顔。









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