天然王子様に振り回されて
お父さんは、ふわりと微笑んだ。


切なそうに、優しそうに。

・・・・・・愛しそうに。







「悔しいことに。

どうやら、そうみたいだよ。」








全然、悔しそうじゃない口調で。


微笑みながら、そう言うお父さん。














「・・・・・・そっか。」



ふっと、イスの背もたれに体をあずけた。






そっか。


そっかぁ。






「好き、なんだ。」


「うん。でも、しょうがないと思うよ?」


「なんで?」



しょうがないんなら、離婚しなくない?





「ズルイんだよ。瑞穂は。」


「・・・・・・・・・・・え?」





ズルイ?


お母さんが?







ハテナマークを浮かべれば、

愛しそうにお父さんが話し始めた。








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