天然王子様に振り回されて
お父さんは私に微笑みかけた。





あ、ボーっとしてた!


ハッとした私は、慌てて、お父さんに視線を合わせる。







「まぁ、昔話はこれくらいにして。

羽依から私に聞きたいことは?」


「や、もうほとんどお父さんから聞いた事で納得できたんだけど・・・

ついでに聞いちゃおっかな。」



私はニンマリしながら、言った。



「永井っていう人に告白されたって、本当?」




瞬間。


お父さんの目が開かれる。





「な、なんでそのこと・・・・・」


「だって同じ学校の先輩だし。」


「そうだったのか!?」


「うん。」



あわあわとうろたえるお父さん。





「ほ、本当だが、断ったぞ!

いい子だが、さすがに娘と同じぐらいの歳の子とは・・・」


もごもごと言うお父さんに、私は目を細めて、聞いてみる。



「それだけ?」


「ん?」


「だから、断った理由はそれだけなのかなーって。」



ニヤニヤ笑えば、お父さんはため息をついて。


頭を抱えた。



「羽依・・・お前、分かってるんだろう。」


「何がー?」



白々しく、しらばっくれてみる。



お父さんは、観念したというように、渋々口を開いた。


ほんのり、頬を赤く染めて。





「・・・・・瑞穂に、未練があるから。

それが、断った1番の理由だよ。」









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