天然王子様に振り回されて
まったく。

なんて母親だ。



ため息をつきつつも、内心ちょうどよかった、とも思っていた。






今なら、聞けるから。


お母さんに。







私は、お母さんをじっと、真剣に見つめた。


私の視線に気付いたのか、お母さんが首をかしげた。






「何?羽依。」


「・・・・・・お母さん。1つ、聞いてもいい?」




いつになく真剣な私に気付き、お母さんもきゅっと表情を引き締めた。




「いいわよ。聞きなさい。」




私は少しためらった後、単刀直入に聞いた。







「お父さんに、未練はある?

今でもまだ、お父さんのこと、好き?」





答えて。


お願い・・・。



2人は、私の親だから。

大切な人だから。







お母さんは、驚いたように、目を見開いた。




「いきなり、どうしたの?」


「いいから、教えて。お願い」




ぎゅっと拳を握り締めた私。


お母さんは、何か言いたそうに口を開いた後。

ぐっと、開いた口を閉じた。





真っ直ぐに、真っ直ぐに、私を、見つめ返した。








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