天然王子様に振り回されて
「テメェラ、なに羽依泣かせてんだよ。あ゛?」


もの凄い、ドスのきいた声がした。




その声を聞いた途端、私は安心した。



もう、大丈夫だ―――。






「・・・・・っ・・・茜(アカネ)!・・・・」







屋上の出入り口のドアの前に、私の親友が仁王立ちしていた。




ポニーテールにされている、さらさらの綺麗な長い黒髪。


すらりとした手足の長身の美少女だ。


その白い肌は今、怒りでほんのり紅くなってる。


アーモンド形の大きな漆黒の瞳は、つり上がっている。





スッとこちらに近寄った・・・・・と思ったら、ほんの一瞬で先輩達を全滅させた。


ぐったりと横たわった先輩達の頬が赤くなっていることから、茜が殴ったことが分かる。












―――茜は・・・・・



私が高校に入ってからできた親友だ。


中学の時にはヤンチャしていたらしく、今でも皆は茜を遠巻きにしている。



全然、そんなことなにのに。


茜はすごい優しいんだ。ちょっと不器用なだけ。





ほら、今だって。



何も聞かずに、ただ私を優しく抱きしめてくれる。











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