天然王子様に振り回されて
―――それから。
なんとかかんとか支度をして、
ホームルームが終わったところで登校した。
千秋先輩は、諦めたのか、何かを察したのか、
その時には、もういなかった。
で、只今、1時間目が終わったところ。
茜が、私の席にすっとんできた。
「羽依。何があった。」
直球。
茜はいつだってそうだ。
どんな時も、直球に物事を言う。
意志の強い、真っ直ぐな瞳で、私を見る。
「聞くから。
私、羽依の話、ちゃんと聞くから。
・・・だから、話してほしい。」
私は、1つ頷く。
茜には、聞いてほしい。
私は、拉致されたことや、昨日の光景を、
茜に、なんとか話した。
「・・・・・・・・・・・て、ことなの。」
私が話し終われば、茜は私を抱きしめてくれた。