天然王子様に振り回されて
彼女の涙の理由*千秋side*
―千秋side―
羽依が、泣いていた・・・。
今は、1時間目が終わった休み時間。
俺は、学校に来てから、ずっと机に伏せてる。
羽依、泣いてた・・・。
俺、何かしたのかな・・・・・。
拒否、されたし・・・・・。
ずぅーんと落ち込む。
ハルが、そんな俺の肩をつんつん指で突く。
「おーい、アキ。
何落ち込んでんのか知らねーけど、
お客さん来てるぜ?」
「・・・・・・・・誰?」
「黒髪美人。」
「いや、だから誰それ。」
情報が少ないって。
「だって名前知らねぇし・・・。
あー、でも、1年っぽい。」
「1年ー?」
羽依と同じ学年じゃん、と思い、顔を上げた。
・・・・・・・・・・・・は。
ドアの前に仁王立ちしている女子生徒に、目を見張った。
「お前・・・・・」
「つべこべ言ってねぇで、さっさと来やがれ。」
うん。
この男口調。
間違いない。
「羽依の友達・・・だよね?」
「石原茜。羽依の"親友"だから。
っつーか早く来いよ。」
石原は、ギロリと俺を睨んだ。