天然王子様に振り回されて
どんどん小さくなる声。


うぅ・・・断り切れなかった俺、情けない・・・。



「でも、本当に可哀想だったんだよ。


俺だって、羽依と別れたら、どんなふうになるか・・・

考えただけでも、恐ろしい。


だから、放っておけなかったんだ・・・。」


ぼそぼそと呟けば。




「チッ」


舌打ちが聞こえた。



あ、もちろん、したのは石原。



なぜか、事情話したのに、どす黒いオーラが消えてないんだけど。


というか、さらにどす黒くなってるんですけど。





「やっぱり、"嵌められた"のかよ。」



・・・・・・・・・・・・え?



「嵌められた?」




なんの、こと?


なんか、すごい、嫌な予感がするんだけど・・・。





石原は、俺の問いには答えずに、

逆に聞き返してきた。



「なぁ、三木。

なんで昨日、お前一回も羽依に会いに来なかったんだよ?」


「あ、うん・・・。」


俺は、口ごもった。

コレ、羽依には言ってほしくないな・・・。



「あ?んだよ・・・なんか、やましいことでもあんのかよ?」


「違うけど・・・・・羽依の耳に入れたくない。」


「というと?」



石原の視線が鋭くなる。


俺は、真っ直ぐに石原を見て、言った。





「女子が、羽依の悪口言いまくってたんだ。

ソレ、止めてた。」






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