天然王子様に振り回されて
だけど・・・・・




永井さんは、いまだに微笑んだまま、

ここに残っていた。





そして、言った。

笑顔で。





「ねぇ。飯田さんは、泣いてくれたの?」



俺は目を見開く。

石原は、顔を歪めた。




何・・・この子。


なんてこと、聞いてんの?




永井さんは微笑んだまま、もう一度聞く。


「飯田さんは、泣いてくれたの?」




あまりのことに、何も答えられない俺に代わり、石原が言った。



「なんでそんなこと聞きたいわけ?」


低い、どこまでも冷たい声。



けれどもそれに怯むことなく、永井さんは微笑んだまま言う。





「泣いてくれてたら、嬉しいなーって思って。

だって、私の目的は、飯田さんが苦しむことだから。」


優雅に、優しげな口調で言う永井さん。





俺の中の、何かがプチッと切れた。








「ふざけんなよっ!!!!!」



俺は、永井さんの胸倉をつかんだ。


勢いにのせて。







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