その恋、取扱い注意!番外編(旧題 幼なじみは取扱い要注意)
「湊! 酷いよ。彼女は誠心誠意――」

「帰ってくれないか」

「湊っ!」

私の言葉を無視して、アリサさんに告げる湊。

アリサさんはくしゃっと顔を歪ませて、両手で顔を覆う。そして立ち上がってそのまま玄関に駆け出した。

「アリサさんっ!」

玄関に向かう背中から、憮然とした表情で座ったままの湊に向き直る。

「湊! そんないい方しなくてもっ!」

ソファの上に彼女のバッグと真っ赤なコートが置かれているのが目に入る。

それを掴むと、アリサさんを追った。

「ミミ!」

階段を駆け下り、扉を開けた。

目の前にちらつく雪。植え込みの木や街路樹はうっすら雪化粧を始めていた。
角を曲がるアリサさんの駆けていく後姿が目に入る。
その方向に滑らないように気をつけながら追いかけた。

「アリサさ――」

角を曲がってすぐのところにアリサさんはいた。なぜか彼女のボーイフレンドのイーサンもいる。
< 41 / 62 >

この作品をシェア

pagetop