その恋、取扱い注意!番外編(旧題 幼なじみは取扱い要注意)
振り向きざまに、小さな衝撃を受ける。

「ちゃんと前をみろよな。また怪我するぞ」

湊だった。倒れないように両腕を掴んでくれていた。

「湊……」

「凍りつきそうじゃないか」

湊は自分の着ていたモスグリーンのカーディガンを脱ぐと、私の腕に通し着せてくれる。
今まで着ていた湊のカーディガンはほんのり暖かくて、抱きしめられているみたいに落ち着く。

「ありがとう」

湊は私を通り越して、アリサさんの方を見ていたけれど、おもむろに腕を伸ばした。私の肩を抱いたのだ。

「行こう。風邪をひく」

湊は私を促し、アパートメントに向かって歩き出した。


玄関を入ると、暖房の暖かさが芯まで冷え切った身体にしみいる。

ソファに座ると、湊はジャム入りの紅茶を持ってきてくれた。それから隣に座った。
< 44 / 62 >

この作品をシェア

pagetop