トーフマン


「しずかちゃ〜〜んっ!」


駅に着くと、おれはワゴン車の窓から身をのりだして、駅前にちょこんと立つしずかちゃんに向かって大きく手を振った。


通行人がみんな、こちらを注目した。しずかちゃんは、顔を真っ赤にしながら、トコトコと小走りで駆け寄ってきた。


「もう、あんまり大きな声出さないでよおっ。恥ずかしいじゃないっ」
「だってかわいいんだも〜ん。ああ、そのチュニックもめっちゃくちゃかわいいよお」
おれは、腰をクネクネさせながら、かわいいかわいいとはしゃいだ。ガタイのいいおれがはしゃぐと、なんだか危ない臭いがする。しかし、恋人同士だ!問題ない!
「こういう恰好、好きかな?と思って」
しずかちゃんは、うつむきながら、照れ笑いをうかべてみせた。
「すげえ似合ってる!もう最高!」
おれは拳を握りしめて断言した。
「わあい、うれしいな、うれしいな」
シズカちゃんは、その場でくるくると踊ってみせた。


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