トーフマン


「怖いよね。シダバーって。この町に出たらどうしよう?」
「それは無いだろ」
「なんで?」
「だって、こんな田舎町だぜ?そういう悪の組織みたいなのは東京みたいな都会に現れるって相場が決まってんだ」
「テレビの特撮じゃないんだから」
「大丈夫だって」


おれは危機感を持っていなかった。


昔からそうだった。アメリカのビルに飛行機が衝突したニュースを見ても、どこか別世界のことのように感じていた。


北朝鮮が日本人を拉致しているというニュースを知っても、心は痛んだが、自分とは関係ないと思っていた。


近所で傷害事件があったと地元の新聞で読んでも、なんとなく自分がそういう目にあうことはないだろうと確信していた。


根拠はないが、自分の人生はたぶん平和だろうという自信を持っていた。


そのあと、おれとしずかちゃんは、ゲーセン、アニメイト、などをまわり、夜になるまで、たっぷりと楽しく遊んだ。



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