トーフマン


最初、窓の向こうに化け物がいると思って、おどろいて後ずさった。すると、窓ガラスに映るそれも同時に後ずさった。


そこで、それが、自分の姿だと分かった。


おれの体が、化け物になっている。


豆腐のような質感の、奇妙な化け物になっている。


全身が、真っ白だ。顔にも体にも、トゲがびっしりと生えている。


「な、なんなんだよこれえっ!?」
おれは怒鳴った。その声色も、少し変わっていた。低く、鈍い声になっている。


吐き気がした。
中学生の頃に、水疱瘡にかかり、肌にたくさんの湿疹ができた時も気持ちが悪かったが、これはその比ではない。


「落ち着くんだ。いいか、勇一郎、おまえの体は・・・・・・」
親父が話しだそうとした時だ。





突然、家が崩壊し始めた。


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