トーフマン


また怪物だ。
おれは泣きたくなった。本当になんなのだ今日は?


「わたしの名前はクモシダバー」
蜘蛛女が無機質な声でしゃべりだした。頭部の蜘蛛の口の部分が、カチカチと動く。
「シダバー?」
親父が反応する。
その女、クモシダバーは、親父を見て首をかしげた。
「おまえは標的だね。TF細胞を作り出した男。我等の怨敵」逆方向にガクンと首をかしげる。「キングシダバー様に殺すようにと命令された男。だけどおかしい。おまえはどうやって、わたしの糸で密封し、破壊したあの家から逃げだせたのだろうか?おかしい。まあいい殺す」
クモシダバーは、そう言って歩み寄ってきた。


おれは親父の前に立った。


事情はよくわからないが、こいつは親父を狙っているようだった。
すると、クモシダバーは立ち止まり、おれをじっと見ると、またガクンと首をかしげた。
「おまえは何だ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「人間ではないな、おまえ。シダバーでもない。何だ?おまえは何だ?」
「おれにもよくわからねえよ」
背後で親父が、うう、とうめいた。



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