トーフマン


二十七年前、親父は豆腐の新商品を開発するために、自宅の地下に研究室を作り、そこで豆腐の研究をしていた。


そして、豆腐の中に、人体機能を活性化させる特殊な物質が微量に含まれていることを発見した。


親父はその物質を、「TF細胞」と名付け、さらに研究した。うまく培養し、この細胞を多く含んだ豆腐を作れば、健康にいい新しい豆腐が作れるのではないかと考えたのだ。


そして、六年後、あの赤い豆腐が生み出された。
TF細胞を多量に増やした豆腐だ。
しかし、それは危険な豆腐だった。


健康どころではなかった。


TF細胞は、生物を歪に進化させる効能を持っていたのだ。




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