トーフマン


ある日、できあがったばかりの赤い豆腐に、一匹のハエが飛びついた。


そのハエは、赤い豆腐をほんの少しだけ食べた。


すると親父の目の前で、そのハエの全身がさあっと白くなった。そしてその体が、風船のようにぼんっと膨らみ、サッカーボール並の大きさになった。足に鋭いトゲがいくつも生えてきて、口から牙がはみだし、ゲゲゲゲという声がその口から漏れた。


赤い豆腐を食べたハエが、何か得体の知れない怪物に変化しようとしていた。


親父はとっさに椅子でそのハエを叩き殺した。


ハエの体は柔らかく、簡単につぶれた。ハエの肉体が、豆腐になっていた。
TF細胞は、生物の体を、豆腐の怪物に変化させるものだった。


とんでもないものを作ってしまった。


そう後悔した親父は、赤い豆腐を封印することにした。黒いケースに入れて、厳重に鍵を閉めた。



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