トーフマン
いまから五年前、謎の怪物集団、シダバーが出現し、世界中の国の人々を襲った。
日本政府は、「シダバー対策本部」という組織を設立したが、驚異的な能力を持つシダバーに対抗するための、具体的な計画を立てることができずにいた。
そこに所属する人物のひとりに、親父の知り合いがいた。親父はその知り合いを通して、シダバー対策本部にTF細胞を利用した、ある計画を提案した。
それは、TF細胞を注入した強化人間を作り出し、シダバーと戦うための兵士にすることだった。
非人道的な計画だった。
しかし本部は親父を雇い、その計画を実行させた。国内ではもうシダバーによる死者数が十万人を超えていた。なりふりかまっていられなかった。
そして「TFシステム研究所」が建てられ、親父はそこの所長として働いた。そしてその研究所の資金を利用して、研究と同時に、おれに飲ませるための薬を大量に生産した。
親父は、昼は豆腐店で、夜は研究所で働いた。
実験体としての人員を、自衛隊や警察組織から募集した。シダバーに家族や友人、恋人を殺された者達が、全国から数十名乗りでた。
実験は失敗の連続だった。
TF細胞を注入された者達は、肉体が異様に変形し、次々と発狂した。薬のおかげで死者は出なかったが、何人かは重傷を負った。
さっき、おれにベルトを巻きつけた男、ユウ・Uーも、そのひとりだった。