トーフマン



ごおうっ・・・・・・



「くおおおおおっ!」
凄まじい重みが、本当に、シャレにならない重量が、全身にのしかかってくる。


骨がきしむ。筋肉が、ぶちぶちと切れてゆく。



べきべきっずず・・・・・・



両足が、道路に沈み始める。


「・・・・・・早く・・・・・・逃げて・・・・・・」
かすれた声で少女に話しかける。
あまり長時間、支えていられそうになかった。


しかし少女は、おれの足元で気を失っていた。あまりの出来事に、ショックが大きすぎたようだ。


「くそ・・・・・・どうすれば・・・・・・」
「さあ、どうする?」
クモシダバーが、目の前に立った。そして、がくんと首をかしげて言った。
「これがおまえの弱点だよ。昨日もそうだった。わたしには理解できないが、おまえは他の命を守るために、自分の命を投げ出そうとする。馬鹿だ。とてつもない馬鹿だ。愚かだ」
「くっ・・・・・・」
クモシダバーが、また糸を吐いた。その糸はおれに膝に巻きつき、強く締めあげてきた。
膝から、ぶしゅうっと、血が吹き出した。
「があああっ」
おれは、がくっと片膝をついてしまった。



ずしいっ・・・・・・



持ち上げたスーパーマーケットが、大きく傾いた。
巨大なコンクリート片が、少女のすぐ横に落下し、砂煙をあげる。


「ほら、どうした?ちゃんと支えておかないと。少しでも揺らすと、また瓦礫が落ちてきて、この娘を傷つけてしまうだろう。ほら、がんばらないと」
淡々としゃべりながら、クモシダバーは、糸をさらに強く締めつけてきた。糸は少しずつ肉に食い込み、骨に触れる。


仮面の下で、歯を食いしばって、痛みに耐えた。
くやしいが、反撃はできない。


少しでも手をはなすと、スーパーマーケットが落ちてきて、少女の体を潰してしまう。


「このまま、足をちぎりとってやることにする」
クモシダバーが、近付いてきた。



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