トーフマン
・・・・・・気がつけば、闇の中だった。
瓦礫の重みが全身にのしかかっていて動けない。
両手両足に力を入れてみたが、無駄だった。アーマーのおかげで、押し潰されずにすんではいるが、やはり凄く痛い。
・・・・・・まずい。このままだと、クモシダバーが、あの少女や餅達を襲ってしまう。
「ふんぬぬぬぬっ」
もう一度力をこめて、腕を動かそうとしたが、周囲の瓦礫が少しぐらついただけで、まったく抜け出せそうになかった。
「ああ、ちくしょう!なんだよもう!」
泣きたくなった。
なんでおれはこうなんだ!こんな大事な局面で、生き埋めになるなんて。
誰も見てないし、ちょっと泣こうかな、などと考えていると、闇に慣れてきた目に、ある物が映った。
それはおぼろ豆腐だった。
目の前の瓦礫にひっかかっている。スーパーマーケットの商品だろう。まわりには、納豆のパックや油揚げもある。
それを見て、おれは思い出した。
朝、餅から教わった、ベルトのある機能を。
おれはすぐに叫んだ。
「モードチェンジ!OboroDofu!!」
ベルトが光を放った。
その光はおれの全身を包み、体の形を変えてゆく。
これがTFシステムの機能のひとつ、TFチェンジだ。
体内のTF細胞を操作し、肉体を、己の望む形の豆腐に変えることができるのだ。
おれの体は、おぼろ豆腐になった。