生徒会の恋愛事情


「ああ。
確かに生徒会は、今の俺達にとってもそれなりに過酷だ。
学業も疎かに出来ないわけだし。
って、勇也を弟に持っていて偉そうに言えないが。
でも、分かるだろ?
俺達兄弟も、小百合も香里奈も弥も、大人になれば死ぬ程忙しく働くんだ。
これしきの事カバー出来ないのなら、俺達は日本を背負えない。」


あたしはその言葉に胸を打たれたんだ。


聖也先輩達の肩にいつものしかかっているものの重さ、心意気、優しさ、自由にお金が使える世界で、甘やかされて育ったのではない。


この制度の目的の1つでもある、世間を見るという事も出来ている。


「行って来い。
このメンバーなら誰も反対しないだろう。
もし反対する奴がいたら、俺が説得してやる。
日本では見れないものも沢山見て、視野が広い人間になれ。
それでまた、帰ってきたら生徒会に力を貸してくれ。
華羅が留学に行く事で、生徒会はもっと良くなるって思う。
華羅の為にも、生徒会の為にも、安心して行ってくれ。」


「聖也先輩…」


あたしは涙が出てきた。


嬉しくて、感動して。


こんなに素敵な先輩に出会えたんだって思うと、生徒会に入って良かったって改めて思えた。


誘ってくれた弥に感謝したい。


「ありがとう、ございます。」


「当然の事をしたまでだ。」


「そういう時は、どういたしましてって素直に言うんですよ?」


「…そうか。」


聖也先輩は照れたように俯いた。


「ところで、沙羅と会わなかったか?
華羅を追いかけて、荷物を持たずに走っていったんだが。」


「そうなんですか!?」


沙羅?


あんた今、何処にいるの?



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