生徒会の恋愛事情
関係
「沙羅ちゃん、ゆっくりでいいから教えて?
華羅に何があったの?」
子供をあやすような優しい声は、いつもなら聞いていてとても心地良い。
でも今は、それがプレッシャーとなって私を襲う。
「華羅お姉ちゃんが…」
私はゆっくりと話始める。
昼時の理科室前の廊下、たまに人が通っては私達をちらりと見ていく。
まるで、街中の恋人達を見るような目だ。
でも皆、弥先輩と私が生徒会役員である事を知っているから、決して変な噂はたてない。
ただの先輩と後輩の急ぎの事務連絡ぐらいにしか思われてないのだ。
「そう。
話してくれてありがとう。」
弥先輩は短く返事をすると、華羅お姉ちゃんを探しにいくと言った。
「じゃあ私はこっちを探します!」
私が逆方向に走ろうとした。
でも出来なかった。
弥先輩が私の手首を掴んでいた。
「待って。」
今度は先程と違って、ただまっすぐに、私だけを見ていた。