生徒会の恋愛事情


あたしの心臓が、急にバクバクと音をたてる。


「そうじゃないけど…」


華羅お姉ちゃんの言葉が途切れる。


弥先輩も何も言わない。


どうしたんだろうと思って、あたしはそっと2人の様子を窺った。


でも、すぐに後悔した。


見なければよかった。


ううん、見ちゃいけなかった。


弥先輩が華羅お姉ちゃんを抱き締めている。


弥先輩はあたしに背中を向けていて、華羅お姉ちゃんの顔は弥先輩で見えなくなっている。


だから…あたしがここで見ている事を、2人は気付いていない。


気付いてもらえない。


同じ空間にいて、これだけしか離れていないのに、あたしは別次元んいいるような気分になる。


そしてあたしは、自然と後退りしたの。


そっと、足音を立てずに、ゆっくりと離れる。


そして2人が見えなくなるところまで進むと、くるっと後ろを向いて走り出したんだ。


何処に向かうわけでもなく、逃げるようにい走る。


気付いた時には、生徒会室の近くにいたんだ。



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