生徒会の恋愛事情


「沙羅ちゃん!」


香里奈先輩が驚いた顔をして、あたしの名前を呼んだ。


「…遅れてすいません。」


「いいのよ、そんなの。」


「大丈夫か?
無理するなよ!」


「小百合先輩、勇也先輩、ありがとうございます。
でももう大丈夫です。
ご心配おかけしてすいません!」


嘘を吐くのはやっぱり心が痛い。


「本当に大丈夫か?」


「大丈夫だよ。」


皆が優しいから、余計にそう。


「昼に会った時に気付けなくてすいません。
あの時僕がちゃんと気づいていれば…」


弥先輩が申し訳なさそうにこちらを見ている。


「いえ…あの時はまだ元気でしたから。
気付かないっていうか、あの時言われても予知ですよ!」


自分の口から出た精一杯の嘘だった。


それでも、本当の事は言えないから…


「沙羅!」


華羅お姉ちゃんが立ち上がる。


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