生徒会の恋愛事情


「ごめんね。」


華羅お姉ちゃんはあたしをぎゅっと抱き締めた。


華羅お姉ちゃんは、あたしが体調崩したのを、自分のせいだと思っている。


華羅お姉ちゃんが留学の話をしたから…と。


その思いが、あたしを抱き締める腕の強さに表れている。


「…」


何か言わなきゃいけないのに、何も言えない。


分かってる、今のあたしはただの嘘つきだ。


でも…


さっきその身体を弥先輩が抱き締めていたんだと考えると、あたしは何も言えなくなったんだ。


「華羅、沙羅が苦しがって何も喋らなくなってるから離してやれ。」


そう言ったのは聖也先輩だった。


「ごめんね。
痛かった?」


華羅お姉ちゃんが離れていく。


「ううん。
びっくりしただけだよ?
心配させてごめんね?」


それしか言えなくて。


その返事が元気なかったせいか、華羅お姉ちゃんが更に心配してくれて申し訳ないなと思う。



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